【湊かなえ】Nのためにを読んでみた。
やっと、やっと。
『Nのために』を読了した。
色んなところに集中力を持ってかれてしまってこんなに時間が掛かってしまったが、速い人は小一時間で読めてしまうくらいの、忙しい現代人仕様になっている。
超読みやすいでっせ。
びっくりした。もっと心に重く鈍いものを残されるかとヒヤヒヤしていたのだが、杞憂だった。
と言うのも、湊かなえ先生の他作品『夜行観覧車』ってドラマ化していて、それを過去にチラリと拝見したことがあるのだが見事なまでにドロドロとしたストーリーが印象的で、それ以来湊先生作品は私の中で"こってりドロリッチ話を書く方"となっていた。
ドロドロ系もべつに嫌いじゃないんだけど、読む時には自分の心理状態が健康でないとしんどくなるから、タイミングの見極めが難しいなとちょっと疎遠になったという経緯がある。
長すぎる前置きはここまでにして、『Nのために』は星でいうと、★★★☆☆ってとこだろうか。
一言であらすじを言うなら、"韓国ドラマもびっくりな超絶すれ違い話"と私は説明する、もちろん異論は認める。
個人的にこういうすれ違い話はあまり得意ではないのだが、「現実にありそう」ってところと「そんなんありえへん」ってところが拮抗した際どいところを責めたすれ違い方をしていて、結果そんなに嫌な気分になることもなくスルスル読めた。
とは言えどフィクションなんで冷静に見ると極めてあり得ないのだけど。
皆それぞれのNがいて、思いやるが故に互いに口を閉ざしなかなか交わらない。悲しい、と言い切るのは非常に微妙なので悲しいとは言わないがどこまでも救いがないな。どこを読んでも平行線で孤独を感じた。唯一救いなのは、「たら、れば」場面が少ないところ。「あの時ああだったら、、」とか「あれがなければ、、」という"悔い"というのはかなり心の㌍を消費するから、作品の中で配合するのならバランス大事。特にこういうわかりやすい"救い"がない時は。
でもそこは安心して。
何せ書いているなは湊先生なんで、委ねて読み進めて大丈夫。
雨も降っていることだし、Nのためにを読んで、文字と孤独の海にただ漂ってみるのもかなり粋でしょう。