『ナイルパーチの女子会』を読んだ。
すごい胸糞悪かった。
主に女子の関係性について書かれているんだけど、主人公がびっくりする程空気が読めなくて、ずーっと他人に嫌な思いをさせてしまっているという、目も当てられない程の悲劇が延々とつづく。読んでいてとても疲れた。
人間関係、特に男子の介在しない女子の関係はちょっと特殊なのかもしれない。
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主人公である大手総合商社に勤める30歳女性のE子と、同じく30歳で子なし主婦ブロガーS子がメインで描かれている。この2人が出会い、友人関係を築こうとするのだがもう全くびっくりするほど無理という話なのだ。その原因の一つとして、E子の「自分の尺度で話をし、自分の正義を振りかざす」という点が挙げられる。E子は間違ったことをしてしまうことに対し異常な恐怖心を抱いてしまう、真面目タイプ。だから基本間違ったことは言わない。E子的には「私が相手を諭してあげよう」という気持ちみたいなのだが、友人関係において、諭す行為ってご法度というかあまり必要とされていないよね。それよりかは「うんうん、わかるよ」って相手のことを理解している風を装うことが重要だったりするんじゃないだろうか。要するに、E子は正論が正しいが故に相手を傷つけるということに全く気づかないのだ。E子には相手の立場があるということがそもそも欠落してしまっているのでそりゃあまともに人と関係なんて築けない。
S子も人と関係を作るのが上手じゃない。E子の異常性に気づいてからは、E子に向き合うこともせず逃げてばかり。「E子は異常だから向き合うのがしんどい」のではなく、人間関係の全てが例外なく面倒臭くてしんどいものだっていう事実を知らないのだ。
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と、いうわけで登場人物の誰にも感情移入することができなかった。表紙がとても爽やかだが、内容は全く爽やかではないトラップ本でした。